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広大な大海原を下に
空に浮かぶ飛行船───…………
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その飛行船はハンター協会が所有しており
ハンター試験参加者を乗せて、ある孤島へと移動していた。
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参加者たちは数々の試験を乗り越えた
その理由はそれぞれだが───その中で出会いがあったのかもしれない
あるいはそれより以前に、すでに会っていたかもしれない……
全員が「顔見知り」だ……が、協力してきた者もいるかもしれないが
「ライバル」でもある事は忘れないでほしい。
とうとう次が最終試験。
まだ内容すら見えぬ最終試験……参加者は何を思い、そしてどう過ごしているのか……。
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白虎 :
「おぉお~~~!!!高い!!すっごく高いぞ!!!」
飛行船の中、小学生程度の身長の少女が、窓の外を眺めて目を輝かせている。
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ヘクトール :
「いやー、高い高いおこっちたら大変だ」
古風な格好の男が、腕を枕にして椅子に横たわる
[メイン] 環うい : 「わぁああ……こんな高い所、見るの初めて……!」
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白虎 :
「む! はっはっはー!でも白虎様は平気だぞ!!なんせ白虎様は!頑丈だからな!!」
後ろにいるヘクトールへ、自信たっぷりな表情で元気よく話しかける。
[メイン] 環うい : きょろきょろと辺りを見回しながら、はたと見つけた少女と男性。
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ヘクトール :
「おお、名乗ってくれてありがとよ」
「俺はヘクトール、“トロイアのヘクトール”だ」
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白虎 :
「どいつもこいつも……強そうだな!!白虎様もワクワクしてきたぞ!!」
飛行船内にいる、"アマチュアハンター"達をぐるりと見渡す。
[メイン] 白虎 : 「む!ヘクトール……!!……ヘクトール!分かった!覚えたぞ!」
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環うい :
「あ、二人とも…こんにちはっ…!へえ~……おっこちても大丈夫なんだ?」
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白虎 :
「わっはっはっはー!!白虎様は強いからな!!そういうお前も……落っこちても何かできたりするんじゃないか~?」
ういをジロジロと。
[メイン] ヘクトール : 「いやはや、白虎の頑丈さにはおじさんも脱帽だよ、何も被ってないけどさ」
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環うい :
みんな、すっごい風格がある……
やっぱり、試験をここまで潜り抜けた人たちは違うなぁ…
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白虎 :
「………??? 帽子被ってないのに、脱帽? ……どういうことだおっさん!!」
↑IQ28
[メイン] バロン : 「騒がしい奴らだ」
[メイン] バロン : 背もたれに体重を預けていたが、辺りの様子を見て身を起こす。
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環うい :
「わ、わたし!?何も出来ないよう!」
手をぶんぶんと振って、違う違うと。
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白虎 :
「むむ………!!」
ひと際雰囲気の違う男に、ぴくりと眉が動く。
[メイン] バロン : 「お前たち、次の試験の内容を知らないわけじゃないよな?」
[メイン] 白虎 : そうしてバロンの方へ向き。
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ホンフー :
「ふふふ……騒がしいぐらいがちょうどいいと思いますよ?」
最初の試験で目にかけていた参加者が綺麗に残っていますね……
と言わんばかりに、束ねた後ろ髪を揺らしながらニコニコと近づいていく。
[メイン] 白虎 : ニヤリと笑う。
[メイン] 白虎 : 「もちろんだ!!」
[メイン] 環うい : 「だから…落っこちても大丈夫そうな白虎さんが凄いなぁって…」
[メイン] 白虎 : 「─────殺し合いだろう?」
[メイン] ヘクトール : 「おー、集まってきたねぇ」
[メイン] 環うい : 「……ほへ?」
[メイン] ヘクトール : 「………」
[メイン] 白虎 : 小柄な少女から─────物騒な言葉が、飛び出る。
[メイン] ヘクトール : 頭を掻くと、少し上を向く
[メイン] 環うい : その言葉を聞いて、困り顔で。
[メイン]
バロン :
「……なるほどな」
ちょっとからかってやろうと思っただけだったが。
これは大分……頭が抜けている。
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ホンフー :
「───うふふふ
殺し合い、ですか…………初めまして、こうやって声をかけるのは、ですがね
"白虎"さん、"ヘクトール"さん、"バロン"さん、"うい"さん」
[メイン] ヘクトール : 「プレート集め、って聞いてるけどどうなるかなぁ」
[メイン] 環うい : 「ううん……”それ”はしてもいい、って聞いたけど……」
[メイン]
白虎 :
そうだ、私はハンターになって、自由を勝ち取るんだ!!
立派なハンターになって、誰よりも強く!誇り高き「桃源」民族の一員として!!
[メイン] ヘクトール : 「ああ、よろしくな。俺は“トロイア”のヘクトール」
[メイン] 環うい : 「試験の内容は…ちゃんと、プレートを集める事…じゃないかな?」
[メイン] ヘクトール : 全員に向けて挨拶をする
[メイン]
白虎 :
「ふっふっふ!!初めましてだな!"ホンフー"!」
ニヤリと笑い。
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白虎 :
「……甘いぞおじさん!!」
ビシィッ!と指差し。
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環うい :
「あ、初めまして……ええーっとえっと、”ホンフー”さん!」
ぺこり、とお辞儀。
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環うい :
名前…配られたリストの中にあったよね…!
多分大丈夫、間違ってないはず…だよ!
[メイン] 白虎 : 「ハンターになるためには、どんな手段であれ、勝たなきゃダメだって、白虎様は聞いたぞ!!」
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バロン :
「どうも」
どこか底知れない態度の男に僅かに姿勢を正す。
[メイン] 白虎 : 「……そういうおっさんはなんだ!?戦いたくないのか?ハンターなのに!」
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ホンフー :
「おや……私の名前を覚えてくれているとは嬉しいですね
はい、私はホンフーと言います……プロハンターになるというより
証であるライセンスの方が、私の目的ですがね」
[メイン] 環うい : 「”ホンフー”さん…なんだか、落ち着いてるような気がしますね…?」
[メイン] ヘクトール : 「うん」
[メイン] ヘクトール : 「戦いたくないな、おじさんは」
[メイン] 環うい : どこか緊張してしまって、胸に手を当てている自分とは対照に。
[メイン] 白虎 : 「何っ……!?」
[メイン] 白虎 : 驚愕!といった表情を見せる。
[メイン] 白虎 : 「戦いたくないのに、ここまで勝ち残れたのか……!?」
[メイン] ヘクトール : 「ああ」
[メイン] 白虎 : 「………ははーん、おっさん、じゃあ……相当強いんだな?」
[メイン] ヘクトール : 「あー……どうしてそう思ったかはわかんないけど、うん」
[メイン] ヘクトール : 「おじさん、割と強いよ、よろしくな!」
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環うい :
「ライセンス……ほへ……そんなに、大切なものなんですか…?」
”プロハンター”になるという事は自分こそ目指していたが、ライセンスそのものには目を向けたことはなかった。
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白虎 :
「……フッフッフ……!それなら、本番が楽しみだ!」
無邪気な、子どもらしい笑顔を見せる。
[メイン] ヘクトール : 「そーかい、まあ。頑張ろうな、ほどほどに」
[メイン]
ホンフー :
「それは、それは……楽しみですね」
ういの見立て通り落ち着いた雰囲気を維持しながら、ヘクトールからういの方へと視線をずらす。
[メイン]
白虎 :
「それと……お前―!白虎様を下に見るような目で見たなー!?」
バロンにビシィッ!と指差す。
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ホンフー :
「ええ、ライセンスがあるだけで顔や腕っぷしより利きますよ
あれを持ってるだけで不自由しないどころか、立ち入り禁止のところにも
一部の例外を除いて、出入り自由ですよ? うふふふ」
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環うい :
目線を向けられたことに、ぴしりと背を立ってしまう。
[メイン] バロン : 「……今更だな」
[メイン] ヘクトール : 「いやー、アレ一つあれば生活には困らないって言うから羨ましいねぇ」
[メイン] 白虎 : 「むがーーっ!!白虎様の質問に答えないのかーー!?」
[メイン] バロン : 「ま、勘弁してくれ。何せ……」
[メイン] 白虎 : 「むっ……!」
[メイン] バロン : 「あんまりベラベラ喋って手の中を明かすものだからな」
[メイン] 環うい : 「ほええ…じゃあ、ホンフーさんは…出来ないことをしてみたい、のかな…?」
[メイン] 白虎 : 「!!! 確かに!!」
[メイン] 白虎 : 「……なら白虎様も、お口チャックだ!お前らに手の内なんか明かさないぞー!」
[メイン]
ホンフー :
「ええ、出来ない事をしたいという気持ちはありますしね
まあ……ライセンスを獲得した……
つまり"プロハンター"の4人に1人が……ライセンスを何らかの形で紛失してるので
合格しても気は抜けませんが、ね?」
[メイン] バロン : 「もう遅いぞ」
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環うい :
ライセンスの特権は、今の今まで知らなかった。
なにせ、ハンターになる事だけ夢中にかけていた。
[メイン] 白虎 : そう言い、椅子の上に胡坐をかく。
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環うい :
「合格しても、そこで終わりじゃない……」
ごくり、唾を飲み。
[メイン]
白虎 :
「むがーーーー!!!お前―!!本戦の時に覚えていろよー!!」
またバロンに指差し、フン!と不機嫌そうに腕を組み、そっぽを向く。
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ホンフー :
「……最悪、ライセンスはおろか命すら取られるケースもあると
だからこれからの試験を"殺し合い"と捉えた白虎さんは先見の明がある…
なんて、怖がらせてすいませんね」
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環うい :
この人はハンターになっただけじゃなくて、この先まで考えてる……すっごいなぁ…!
私もそういう所は、ちゃんと見習わないと…!
[メイン] ヘクトール : 「白虎は元気いいなぁ、おじさんにも分けて欲しいよ」
[メイン] 環うい : 「むむ……”白虎”ちゃん、だっけ…すっごく自信満々なんだね…!」
[メイン] バロン : 「ガキのお守は慣れなくて困る」
[メイン] 環うい : 胡坐をかいた彼女に、思わず声をかける。
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環うい :
…すっごく明るくて、皆ともお話しできてる……
そういうところ、私にはできなくって…カッコいい…!
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白虎 :
「むむむ!ふふ、ふはははー!!そうだろうそうだろうー!!白虎様は元気一番だからなー!!」
カラッ、と不機嫌そうな顔が、上機嫌な顔へ戻り、ヘクトールへガハハと笑い。
[メイン]
ホンフー :
「うふふふ……ヘクトールさんは分けてもらいたいほど
元気が無いんですね? それはそれは……好機と捉えてもいいですかねえ?」
表情は崩さず、笑みを浮かべて。
[メイン]
白虎 :
「そうだ!それにここまで勝ち上がったからな!!このままハンターライセンスゲットしてやるんだぞ!!」
ういに、にひひ、と笑い。
[メイン] ヘクトール : 「あっはっは、お好きなよーに」
[メイン] 白虎 : 「そういうういは……元気が足りなさそうだなー!?」
[メイン] ヘクトール : 手をぷらぷらとさせて、笑顔を向ける
[メイン] 白虎 : 「ハンターになるには気合が一番だぞー!」
[メイン]
環うい :
「ハンターライセンス……みんなやっぱり、ライセンス目当てなんだね…」
そういうもなんだ、と思いつつ。
[メイン] バロン : 「まったくお喋りな奴らだ……」
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白虎 :
「? ういはハンターライセンスにそこまで興味無いのか?」
小首を傾げ。
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環うい :
「あっ、そうかなぁ…?これでも、お喋りしてるつもりなんだけどなぁ…」
むにむにと、ほっぺを触りつつ。
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ホンフー :
「ええ、お好きなよーに……
させてもらいましょうか、そちらの方も、うふふふ」
こちらも手をぷらぷらとさせると、バロンの方に視線を向け。
[メイン] 環うい : 「ライセンスって言うより…ハンターになってみたいの!」
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バロン :
向けられた視線に視線を返す。
こいつだけは得体が知れん。
[メイン] ヘクトール : 「おや……有名人にでもなりたいのかい?」
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環うい :
「ううん!私のお姉ちゃんが、ハンターになってて…それに憧れたんだ~!」
ヘクトールに、にこりと笑顔でそう返す。
[メイン] バロン : 「ま、談笑は結構だが……もうじき到着じゃあないか?」
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環うい :
そう、お姉ちゃんの”代わり”にハンターになる。
これは私がやらないといけないこと。
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ホンフー :
「ハンターは長者番付にも名を連ねてると聞きます……
ういさんが欲しいのは地位や名誉でしょうか? それとも……!
なるほど……お姉さんが……」
バロンに返された視線に笑みを崩さず、ういのハンターへの思いに耳を傾ける。
[メイン] ホンフー : 「───ええ、そのようですね」
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白虎 :
「ん……!」
バロンの言葉に反応し、窓の外を眺め、頷く。
[メイン] ヘクトール : 「……って事は、あんた妹さんかい」
[メイン] 環うい : 「あ、そっか…!みんなとお話ししてたら、あっという間だったね~!」
[メイン] 環うい : にこりと笑いつつ、ヘクトールの言葉に強く頷く。
[メイン] ヘクトール : 「……なるほど」
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ホンフー :
「いい事を聞きました、ういさんのお話を横から聞いてしまった形にはなりますが
うふふふ……」
視界に捉えた孤島を見て、それでも笑みを崩さずに。
[メイン] ヘクトール : 少し、考えたような顔をして
[メイン] バロン : 「もうじき着陸する。あんまり口を開いてちゃあ舌を噛むぞ」
[メイン] 白虎 : むぐっ!と両手で自分の口を塞ぎ、着陸態勢を整える。
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バロン :
それだけ言って椅子に体重を預けて目を閉じた。
僅かな時間をくつろぐのに使う腹積もりだ。
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ヘクトール :
「うん、そうだな。それじゃあ、今度の試験の間、おじさんがお嬢ちゃんを助けてやるよ」
気軽に、制約に関わる言葉を口に出す
[メイン] 環うい : 「……?え、本当…!?ありが…んぐっ!」
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環うい :
その言葉に思わず元気よく返して─────
舌を噛んだ。
[メイン] ヘクトール : 「──ハッハッハ!何やってんだ」
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ホンフー :
「──うふふふ……」
そのまま孤島から目を逸らす事なく、だが何か物憂げな表情を浮かべた。
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:
とうとう飛行船は着陸し、最終試験の会場の地を
参加者は踏みしめ、そしてそのひりついた空気に目を覚ます者もいる事だろう。
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:
そして、飛行船から参加者に続いて降りてきた試験官が
参加者の人数分のプレートを持って現れた。
[メイン] GM : 「これより最終試験の準備をいたします」
[メイン]
GM :
試験官が最終試験に関しての説明を、より詳しく行い始めた。
それぞれ体のどこかにプレートを付けて、孤島でそのプレートを奪い合う。
従来とは違い点数制ではなく自分のプレートを含めて、制限時間内に3枚のプレートを所持していなければならない(ただし指定された番号のプレートであれば2枚で構わない)。
ちなみに、奪う為には「どんな手段を用いても構わない」
つまり殺す事も可能。ハンター協会がそれを許可している。
[メイン]
GM :
「───では、皆さまにプレートをお配りします
一人一枚……制限時間は───です。配られた人から孤島の奥へとお進みください」
[メイン]
GM :
試験官が一人一人にプレートを配っていく。
プレートを配られた者から、順番に孤島の奥へと入っていき
散らばっていく……最後の一人が消えれば、その15分後にスタートする。
[メイン]
GM :
「では、皆さんご武運を
フフフ……夜明けに、また出会えるのは何人になるんでしょうね?」
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] 環うい : ざくざく、土を踏みながらどこに向かうでもなく。
[メイン]
環うい :
ただ、散策する。
たまにきょろきょろと見回し、”何か”いないか憶病になりながらも。
[メイン] 環うい : 少女、環ういは思考にふけっていた。
[メイン] 環うい : 『奪い合い』、ハンターになるためのこの最終試験……
[メイン]
環うい :
今まで料理であったり、材料を集めるだけ…
いわば、『協力』するだけの試験しかこなしてこなかったうい。
[メイン] 環うい : だからこそ、最後もそうできると思ってた…けど。
[メイン]
環うい :
『奪い合わなくちゃダメ』
そう考えるのは、ちょっと…難しい。
[メイン] 環うい : でも、これを乗り越えなきゃ……私は、お姉ちゃんの”代わり”を果たせない。
[メイン] 環うい : そんな事を考えていた、からこそだったのか。
[メイン] 環うい : ────ある”気配”が、近くまであることに、気づくことが出来ていなかった。
[メイン] 環うい : 「……ふわ…?」
[メイン]
ホンフー :
「…………うふふふ」
真後ろ。
そこから、木々が葉を擦るような笑い声が聞こえた。
[メイン]
ホンフー :
そして、それは───振り返るよりも前に。
"彼"の物であると気づくだろう。
[メイン] 環うい : 「────えっ!?」
[メイン] 環うい : この笑い声……空の時に聞いた…まさか。
[メイン] 環うい : 「……”ホンフー”、さん?」
[メイン]
ホンフー :
「あらら……気づかれてしまいましたね
もう少し思い悩む様子をじっくりと、コトコト煮詰まるまで
聞いていたかったのですが……"うい"さん?」
[メイン] 環うい : ゆっくりと後ろを向いて。
[メイン] 環うい : 「…え、あっ……私が悩んでいたの、わかっちゃったんですか…!?」
[メイン]
ホンフー :
「ええ、人がたゆる瞬間とはいくらでも見てきた身でしてね
うふふふ……今までは『協力』だったのに……
最後の最後で蹴落とし合いだなんて……そんな所でしょう?」
[メイン]
環うい :
船の時でも、落ち着いて…なんていうか、風格がある。
他の誰とも違う、その余裕の表れの笑いに、思わず。
[メイン]
環うい :
「す、すっごい……その通り、です…」
手を合わせて、その言葉に感服する。
[メイン]
環うい :
「今まで、助け合って乗り越えてきたのに……なんで、最後だけ違うものになっちゃったんでしょうか……」
[メイン]
環うい :
お姉ちゃんも『協力』することで人と人は成り立つって言ってたし……
私”なんか”は、一人じゃなにも出来ないから……こういう試験は…苦手。
[メイン]
ホンフー :
「うふふふ……ハンターとはどんな不測の事態にも対応する実力が必要です
腕っぷしだけ、頭の中身だけ、それではいつ死んでもおかしくない
たとえ"ハンター"になったとしても……ですよ?」
虚空を撫でるように、まるでピアノを弾くかのように流麗に人差し指を立てた。
[メイン] ホンフー : 「……それはたとえ、突然……"一人"でやりきる事になっても、です」
[メイン]
環うい :
「う、ぅう……今のこの試験が……その、”一人でやりきる”という……不測の事態……って事ですか……」
その人差し指を見て、ごくりと生唾を飲み。
[メイン] ホンフー : 「ええ───そうです、そして更にたとえ……」
[メイン] : ヒュッ、と虚空が引き裂かれると
[メイン]
:
ホンフーの掌が、ういの眼前にまで迫り。
その指先の曲がり、口内へと向けられる親指……
まさに下顎を確実に破壊しようとする動き───
[メイン] 環うい : 「────ッ!?」
[メイン] 環うい : 風を切るその感覚に、思わず一歩引く。
[メイン] 環うい : そしてその拳を────
[メイン] 環うい : ────一枚の凧が防ぐ。
[メイン]
ホンフー :
「目の前で、うんうんと話を聞いてくれている人が……
突然殺意を攻撃に変えて……向けてきても、ですよ? "妹"さん?
私をがっかりさせないでくれて、嬉しいです」
少し、目を見開く。
[メイン] 環うい : 一歩引き、慌てて体勢を整えようと立ち直す。
[メイン] 環うい : 「な、なにを……するんですか……?」
[メイン]
環うい :
冷や汗が、どっと流れ出る。
なぜならば。
[メイン]
環うい :
自らが”発”によって生み出したその凧。
[メイン] 環うい : ───それが、拳によって貫かれていたからだ。
[メイン]
ホンフー :
「もちろん……奪い合いですよ
プレートの───そしてそれには"殺し合う"事さえも許される……
それにしても見立て通りどころか、想定外です……あなた……
"念能力者"……でしたか、ただその凧を私の拳が貫いた……」
[メイン]
ホンフー :
「"そういうこと"です」
ホンフーから、禍々しいオーラが湧き上がる。
[メイン] 環うい : 「……っ…!そんな、じゃあ……ホンフーさんは、”殺し合う”ことも、いとわないの…!?」
[メイン]
ホンフー :
「うふふふ───私はアマチュアハンターで、プロハンターではありません……
しかし……」
指先という僅かな面積にオーラを集中させる。
[メイン]
環うい :
…!あのオーラ……もしかして、私と同じ…”念能力者”…!
しかも、すっごい強烈なモノ……!!私と、比べ物にならない…!
[メイン] ホンフー : 「プロの殺し屋では、あるんです」
[メイン] 環うい : 「プロの……殺し屋……」
[メイン]
環うい :
ぞわり。背筋が書き立てられるような。
物語でしか聞いたことのないような、その単語に身振るを覚えて。
[メイン] 環うい : そんなもの…存在するの……!?ううん、そうじゃなくて…
[メイン]
ホンフー :
「ええ、あなた達と共に試験を歩んできた私が、です
日常と血なまぐさい非日常は隣り合わせ、いや、重なってるものなんですよ
───ハンターになれば、こういう人間はいくらでも目にする事になりますよ」
[メイン]
ホンフー :
虚空を再び引き裂き、木々が激しく揺れ動く。
ホンフーの流麗な指先は、今───
[メイン] ホンフー : その一本一本が、どんな凶器すらも上回るッ!
[メイン]
環うい :
「────く、ぅう…!」
[メイン] 環うい : 「凧さん、出てきてぇ…!!」
[メイン] 環うい : ふわり、翼のようなオーラが生えたかと思うと。
[メイン]
環うい :
そこから生み出されていく、凧のようなモノ。
それらが主を守る様に、盾へとなっていくが────
[メイン] 環うい : ────さくッ
[メイン]
ホンフー :
「全力でいきますよ、なにせ私が指定された番号は───
偶然にも、あなたのプレートに刻まれて…………!!!」
キャンセル
攻撃を寸止めしようとするが、先ほどよりも"発動"のタイミングが絶妙だった為
盾となった凧に直撃する。
[メイン] 環うい : 生み出した凧は、貫かれ────否。
[メイン]
環うい :
威力こそ先ほどよりないものの。
ういの腕、体を……掠り。
[メイン] 環うい : その白い肌に付着する、赤。
[メイン] 環うい : 「ッ、ぅああああ……ぁッ…!!!!」
[メイン]
ホンフー :
「人形のように愛らしい貴方も……血は出るもので……
……!!! ……おや……」
指先を見る。血は確かになぞるように、指に付着している。
───しかし指先に集中していたオーラが"削られている"
[メイン] 環うい : 「番号…が…同じ……じゃあ、私のを奪えば……ホンフーさんは試験に合格することが出来る……」
[メイン]
ホンフー :
「……ええ、そうです
あなたのを奪えば……合格できますよ、命も取る事はないでしょうね」
[メイン]
環うい :
その指先……擦れたその手に残る跡を見て。
……私の”力”は……この人にも使えるみたい…!
[メイン] 環うい : 指先から流れ出るそのオーラは、盾となり穴が開いたはずの凧へと流れていき。
[メイン] 環うい : 修復。
[メイン]
ホンフー :
「肉を切らせて骨を断つ───は、大袈裟でしょうが
これは……『オーラを奪う』……」
[メイン] ホンフー : 「───特質系、ですか」
[メイン] 環うい : 「うん、多分……”私が死なない”ようにするには、プレートも捨てて逃げちゃった方がいいんだと思う…」
[メイン]
ホンフー :
「ええ、それが賢明でしょう……
ですが……」
[メイン] ホンフー : ういの"瞳"から放たれる視線と、自身の視線が重なる。
[メイン] 環うい : ピンクの、輝く瞳が黒いその瞳と重なる。
[メイン] 環うい : 「……私は、ハンターになる、だから……それは譲れないの…!!」
[メイン] 環うい : 「一人前になって、”巣立ち”してみせるんだから…」
[メイン]
ホンフー :
「でしょうね───なら全力でかかってきなさい
でなければ……」
[メイン]
ホンフー :
「肉を切るどころか、あなたの身も心も
この口先で、ズタズタにしちゃいますよ?」
[メイン] 環うい : 「っ………」
[メイン]
ホンフー :
その、一瞬の動揺。
ホンフーは、ういの背中を強く押したわけでもない。
ただ、動揺を引き出すために『全力でかかってきなさい』と、それに続く言葉を口にしたのだ。
[メイン] ホンフー : 揺さぶった。
[メイン]
環うい :
事実、ホンフーさんの言葉は……重たくのしかかる。
『誰かを押しのけて上に』『一人でやらなくてはならない』
それは、今の戦いで重々わかっていることだ。
[メイン]
環うい :
その言葉をいとも簡単に生み出すホンフーの刃。
それに簡単にも、動揺してしまい。
[メイン]
ホンフー :
ホンフーは、その一瞬の動揺を突くかのように
地面を轟音と共に───粉砕する勢いで踏み込み。
[メイン] ホンフー : 「プレートだけにしといてあげますよ」
[メイン] ホンフー : 「"妹"さん」
[メイン]
ホンフー :
まるで姉は一生超えられない、と言わんばかりに
嫌味げに"妹"を強調しながら。
[メイン] ホンフー : プレートを───……
[メイン] ホンフー :
[メイン] ヘクトール : 「──邪魔するよ」
[メイン]
ホンフー :
「───」
手先を燕返しするように翻し、そのまま身を宙返りさせる。
[メイン] ヘクトール : 「……早いなぁ」
[メイン] 環うい : 「────えっ」
[メイン] ヘクトール : 強力な踏み込み、強く残る足跡の少し先の茂みから暢気な声が響いてくる
[メイン]
環うい :
その一瞬の隙を突かれ。
防御も攻撃もすることが出来ず、ただ目を瞑るしかなかった。
[メイン] ヘクトール : 「後一歩だったんだけどなぁ」
[メイン] 環うい : が、そこに在ったのは……痛みでもなく、一人立つ男性……
[メイン] 環うい : 「────ヘクトールさん…!?」
[メイン] ヘクトール : 茂みへと目を凝らせば、黒槍が命を奪う為煌めき、それを構えていたのは……
[メイン] ヘクトール : 「そ、ヘクトールってわけさ」
[メイン]
ホンフー :
「ええ、あと一歩でした
ですが───この一歩を更に踏み込めば…………
死んでましたよ私? うふふふ」
[メイン] 環うい : 「もしかして…守ってくれたの…!?」
[メイン]
環うい :
震える手、足……
どこを取っても『戦場』に似合わない、『人形』のごとき少女。
[メイン]
ヘクトール :
ギシリ、と音を立て義手を握り
[メイン] ヘクトール : 「約束通りにな」
[メイン]
環うい :
『死んでた』……その言葉は、嘘じゃないんだと思う…
今、ヘクトールさんは『殺す気』で槍を投げた……
[メイン] 環うい : ちゃんと、その奥に『戦う意志』がある…
[メイン]
ホンフー :
「───『約束通り』…………
!!! 参りましたね……あの時からすでに『発』せられていたんですか」
[メイン] 環うい : 「……『約束通り』…?あっ……ありがとう、ございますっ…!」
[メイン] ヘクトール : 己の背丈ほどもある武器を手に、全く揺らがない立ち姿、たなびく赤き外套は堂々と、その場に立っている
[メイン] 環うい : それに…『約束』を守ってくれるなんて…いい人……
[メイン]
ホンフー :
風のそよぎ。
そよぎは漢字で───"戦ぎ"と書く。
戦ぐ風は、せかすように肌に触れ、棚引く後ろ髪を、そして服を靡かせる。
[メイン] 環うい : ……これで立場は、逆転した…けど。
[メイン] 環うい : 「……ヘクトールさん、あのね……?」
[メイン] ヘクトール : 「おや、どうしたんだい?」
[メイン] 環うい : 「……『私を逃がして』欲しいの…」
[メイン] ヘクトール : 「ん、構わないが……いいのかい?」
[メイン]
環うい :
そう、”戦わない”。
彼らのようにまだ『戦う意志』を持ち合わせていないから、私は…。
[メイン] ヘクトール : 「『アイツをぶっ殺してくれ』と言われても、まあ今回なら引き受けたんだが……」
[メイン] 環うい : 「……うん、まだ戦うことは…”できない”」
[メイン] 環うい : 「だから……逃がしてくれないかな、ホンフーさん……?」
[メイン]
ホンフー :
「───」
二人の表情の移ろい。それだけでその眼前の密会は中身をひっくり返さずともわかった。
逃がす、逃がすね……。
[メイン] 環うい : 震える体、けれど眼だけはしっかりと見据えて。
[メイン]
ホンフー :
「参りましたね───ですがまだまだ時間はありますので……
もったいないのも確かです、仕方ありませんね
そのA4サイズのわら用紙みたいに、薄っぺらで、華奢な信念を
本物にできますか?」
[メイン] 環うい : 「確かに、薄っぺらで……どこかに飛んで行ってしまいそうな気持ちかもしれません、けど…」
[メイン] 環うい : 「……本物にしてみせます、『乗り越えて』みせますっ…!!」
[メイン] 環うい : ぐっと、片足を踏み込んで。
[メイン]
ホンフー :
「…………うふふふ
ええ───でなければ、せっかくの希望の光
絶やさずとも、あなたが死んでしまっては元も子もないですからね?
精々生き延びる事です、そして精々『乗り越えて』ください」
[メイン] ホンフー : 「"ひよっこ"さん」
[メイン]
ホンフー :
ヘクトールを一瞥し、そして再びういの方に視線を向けると
そう言い残してすぐに視線を切り。
その場から煙のように消え失せる。
[メイン]
ヘクトール :
「さて、じゃあ撤退だ」
「相手の許可も取れたしな」
[メイン]
環うい :
うん……その通りだ、私は…強くもない、へたっぴな信念しかない”ひよっこ”
……。
だからこそ、私は……っ!
[メイン] 環うい : 「……」
[メイン] 環うい : 「ふ、わぁ……」
[メイン] 環うい : そのまま、とすんと腰が落ちる。
[メイン] 環うい : 「えへへ……ヘクトールさん……ありがとうございます……」
[メイン] ヘクトール : 「お礼は良いさ、こっちが勝手にした約束を、自分で守っただけだしな」
[メイン]
環うい :
今まで会った事のない、ホンフーさんとの『体験』。
それを味わったことで、一気に腰の力が抜けてしまって。
[メイン]
環うい :
「ううん、こんな私との約束を守ってくれるだけで……私はすっごく、すっごく嬉しいから…」
にこ、と笑みを見せながら。
[メイン] 環うい : 「……それと…その……」
[メイン] 環うい : 「……立ち上がらせてもらっても、いいかなぁ…?」
[メイン] 環うい : 恥ずかしげに、えへへと笑いながら。
[メイン] ヘクトール : 「……仕方ねえか」
[メイン] ヘクトール : 武器を義手側に持ち帰ると、生身の腕を差し出した
[メイン] 環うい : こくり、その腕を掴み。
[メイン] 環うい : ────”ひょっこ”の巣立ち、その一歩が刻まれた。
[メイン] ヘクトール : 「(……どーにも、あの愚弟に似てる気がするんだよなぁ、こういう考えなしの若造は)」
[メイン] ヘクトール : 「(こーやって手を貸すのも、本当は良くないのかもしれないし……程々にしておいた方がいいのかねぇ…)」
[メイン]
ヘクトール :
「(……しかし、『姉さん』か)」
「(後で、少し聞いてみるか……)」
[メイン] ヘクトール : 少し耳を澄まし、周囲の戦の音を取り入れる
[メイン] ヘクトール : 「(……どいつもこいつも楽しそうに壊し回ってらぁ)」
[メイン] ヘクトール : 「(何がいいのかね、ハンターなんて……)」
[メイン] ヘクトール : 「(一生平和に暮らせる権利、“ライセンス”さえありゃ手に入ると聞いてきたが……)」
[メイン] ヘクトール : 「(……期待できそうにない)」
[メイン] ヘクトール : 「せめて、このお嬢ちゃんだけは無事に返してやらねえとな……」
[メイン] ヘクトール : 小さき呟き立ち上がると、懐から薬入れを取り出して、調合を始める
[メイン]
環うい :
「……?なにそれ…?」
ちらり、背伸びして覗き込む
[メイン] ヘクトール : 「ああ、出血を止める傷薬さ。パパッと作っちゃうから、後で塗りな」
[メイン] 環うい : 「おお〜…そんな物まで作れちゃうんだ…すっごい…!」
[メイン] 環うい : 興味津々に、目を輝かせながらその様子を覗きつつ。
[メイン]
環うい :
みんな…私にない物を持ってる……
すごいや……私も、”お姉ちゃん”の代わりになるために…もっと頑張らないと、だもんね…!
[メイン] 環うい : ホンフーさんに、そう言い切ってみせたんだから────
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい : ─────日はさんさんと照らし続けて、まだ『戦い』は終わらないことを示すかのように。
[メイン] 環うい : そんな中、ういは塗り薬を塗り終えて…ヘクトールと共にひと段落。
[メイン]
環うい :
「ふぅー……うん、痛みも引いてきた…
ヘクトールさん特性のお薬、すっごく効くね!」
[メイン] ヘクトール : 「そりゃあ、効かなきゃ意味ないからなぁ。お嬢ちゃんも、ハンターやるなら覚えておくといい」
[メイン] ヘクトール : 「不慮の傷ほど恐ろしいものは無い、何が入り込んでくるかわかったもんじゃ無いからな」
[メイン]
環うい :
「ハンター心得…みたいなのかなぁ…?
ふむふむ…!戦いに詳しいんだね…」
[メイン]
環うい :
その注意を、頭の中にインプットするように。
何度も何度も頷きながら。
[メイン] ヘクトール : 「いやいや、色々知ってるだけさ、下手の横好きだよ」
[メイン]
ヘクトール :
「後、戦いだけじゃない」
「誰かを助ける時にも使える立派な教えさ」
[メイン] ヘクトール : 俺は半端にかじっただけだがね、と笑いながらカバンから本を取り出す
[メイン]
ヘクトール :
「ほら、これをあげるよ」
「半端に読まれて、こいつも不満だろう。アンタは最後まで読んでやるといい」
[メイン] ヘクトール : 薬学の本、近年出版されたばかりの一品だが……真新しさはまるでない
[メイン] ヘクトール : 何度も読み返されているのか、擦り切れている
[メイン]
環うい :
「……本?これがヘクトールさんの心得…
うん、わかった!」
ふむん、と取りだしたその本を見つめつつ。
[メイン] : そうして、二人の注意が本に向けられた瞬間。
[メイン] : ──殺気。
[メイン] ヘクトール : 「────」
[メイン]
環うい :
「ふんふ〜ん♪」
人から貰う、ということが嬉しいのか鼻歌を歌いつつ。
[メイン] ヘクトール : ……呼び出し、とみて良いようだな
[メイン] 環うい : そんな殺気には、気づくことがなかった。
[メイン] ヘクトール : 「じゃ、素材は幾つか置いておくからここで番をしててくれるか?」
[メイン] 環うい : 「…番?うん、わかった!それまでこれ読んでおくね!」
[メイン] 環うい : 本を大事そうに、ぎゅっと抱えつつ。
[メイン] : ”殺気”は孤島の奥から放たれた。
[メイン] : まるで誘いこむように。
[メイン] ヘクトール : 「…そう急かさなくても、今行きますよっと」
[メイン]
環うい :
…えへへー、ヘクトールさんから『お仕事』、任されちゃった…!
これはしっかりこなさないと、だねっ!
[メイン] ヘクトール : 剛槍を背負い直すと、各地で起こる戦いを縫うように移動して、奥地へと向かう
[メイン] ヘクトール : 「……随分、少なくなってるな」
[メイン] ヘクトール : 走り去る道中に、倒されたハンター候補達を行く度見掛ける
[メイン] ヘクトール : ……試験の終わりも、近そうだ
[メイン] : その先で待ち構えていたのは──
[メイン] バロン : 僅かに上着を破けさせたのと、頬に傷跡を付けた他はまるで戦いなど無かったとばかりにたたずむ、黒衣の男。
[メイン] バロン : 「よう、色男」
[メイン]
ヘクトール :
「やあ、ハンサム君」
[メイン]
ヘクトール :
「いや、さっきはありがとね」
「ういが近くにいたんじゃ、おたくとやりあうには少しキツイからね……」
[メイン] バロン : 「あのお嬢ちゃんと纏めて相手してもよかったんだがね」
[メイン] バロン : 「俺も実はあんくらいのツレがいるもんでね」
[メイン] バロン : ちょっとしたシンパシーって奴だ。
[メイン] ヘクトール : 「……なるほど」
[メイン] ヘクトール : どうにも、お前さんとは近しい所があるようだが……
[メイン] ヘクトール : 「じゃ、やるか」
[メイン] バロン : 「ああ」
[メイン]
ヘクトール :
早急に戦闘態勢に移行
当然と秘めていた殺意を露わにする
[メイン] バロン : 懐に手を入れ、プレートを取り出す。
[メイン] バロン : その数、1、2、3……6
[メイン] バロン : 「俺に勝てば、あのお嬢ちゃんと一緒に合格できるぞ」
[メイン] ヘクトール : 「大漁だねぇ……いやはや、感心しちゃうよ」
[メイン] ヘクトール : 「だが、アンタの分は揃ったのかい?」
[メイン] ヘクトール : まあ、わざわざ呼び出したのなら……答えは見えてるが聞いておこう
[メイン] ヘクトール : ……周囲に罠があるか、見る時間も稼げる
[メイン]
バロン :
「決まってるさ……」
汗ばむほどの殺気だがお喋りの余裕アリと。
油断できないな。
[メイン] バロン : 「かつて、この世の全てのものは俺が持っていた……」
[メイン] バロン : 「故に、これっぽっちで”揃う”なんざありえない」
[メイン] バロン : 「さあ──」
[メイン]
バロン :
[メイン]
バロン :
この世の全てを奪い戻そう!
「Get everything back!」
[メイン]
バロン :
[メイン] バロン : 「アンタのプレートもいただきだ!」
[メイン] ヘクトール : 「……いやはや」
[メイン] ヘクトール : 感服する他ない、呆れ混じりではあるが、これは尊敬に値する
[メイン]
バロン :
開戦を告げるように、数発の銃撃を打ち込む。
手加減は無しだ。
[メイン] ヘクトール : どのような由来かは知らないが……
[メイン] ヘクトール : 銃弾の進行先へと添えるように穂先を添える
[メイン] バロン : その銃弾が僅かに、見えていたものとは”ズレ”る。
[メイン] バロン : 「アンタ、相当デキるんだろ?」
[メイン] ヘクトール : 「───なに?」
[メイン] バロン : 「達人ならではの無駄の無い動き」
[メイン] バロン : 「だからこそ」
[メイン] バロン : 「こんな小さな手品でも牙を剝くわけだ」
[メイン] ヘクトール : 「……ッチ!!」
[メイン] ヘクトール : 槍を咄嗟に持ち替え、円を作るように振り回し、後続の弾丸は迎撃するが……
[メイン] ヘクトール : 「……参ったな、アレにやらかした分がここの来たか」
[メイン] ヘクトール : 半端に受け流した一発が、抉るように足を貫いていた
[メイン] バロン : 「ヒット」
[メイン] バロン : 「槍使いは性質上、”踏み込み”が重要だ」
[メイン] バロン : 「足を抉られてアンタ、戦えるか?」
[メイン] ヘクトール : 「……ハッ」
[メイン] ヘクトール : 「これで無理なら、とっくの昔に死んでるよ!」
[メイン] バロン : 「言うもんだ」
[メイン] バロン : 言いながら明後日の方向に銃撃。
[メイン] ヘクトール : 「……また、幻覚かい?」
[メイン] バロン : 「さあ?」
[メイン]
バロン :
この場には”罠”は仕掛けてない。
心得が無ければ時間もなかった。
[メイン] バロン : だが、それと地形の把握とは別の話。
[メイン] バロン : 正面から撃っても槍に弾かれるなら──
[メイン] バロン : 跳弾。
[メイン] バロン : 先ほどの銃弾が地形を跳ね、ヘクトールの側面から飛び出す。
[メイン] バロン : 同時に正面からもダメ押しの銃撃。
[メイン] ヘクトール : 「……!」
[メイン] バロン : 二方向からの挟撃……こいつで終わりだ。
[メイン] バロン : にやり、と笑う。
[メイン] ヘクトール : ……なるほど、これはエゲツナイ
[メイン] ヘクトール : 弾丸が着弾するまでの刹那、ヘクトールは悠長にも感心を覚えた
[メイン] ヘクトール : この状況、相手が幻惑を得意とする以上は、半端な迎撃では凌げない
[メイン] ヘクトール : どうしても、対処は一方に限られるので、必然的に片方は食う
[メイン] ヘクトール : 勿論、迎撃をミスってもアウト、二倍食らって詰みだ
[メイン] ヘクトール : だが、まあ……
[メイン] ヘクトール : これくらいで終わって良かった
[メイン] ヘクトール : 大地を文字通り踏み割って、宙へと土や岩を舞わせると──
[メイン] バロン : 「──!」
[メイン] ヘクトール : 槍を構え、全開で円と薙ぎ払う
[メイン]
ヘクトール :
結果、衝撃で吹き飛ぶ小石の群れに岩の残骸
それを跳弾と、真っ向から迫る弾丸に向けて打ち放つ
[メイン] バロン : ……クソ!
[メイン] ヘクトール : 「さて、この量ならどうだい」
[メイン] バロン : 無数の”壁”の前に数ミリのズレなど意味はない。
[メイン] バロン : 幻覚も、本体の弾丸も纏めて弾かれてしまう。
[メイン] バロン : 「槍だけが得物だと見誤ったな」
[メイン] ヘクトール : 「ハハ、そりゃあ相手が槍持ってりゃ無理ないさ」
[メイン] バロン : ──してやられた!
[メイン] バロン : 地形を武器にした一撃にまさか!
[メイン] バロン : 地形を武器にしてやり返されるとは!
[メイン]
ヘクトール :
「いやぁ、今のは驚いたよ」
「おじさん、これで慣れてるつもりだったけど、ヒヤッとした」
[メイン] バロン : 「余裕だな……!」
[メイン]
ヘクトール :
そう言いながら、槍を構え直すと……
ヘクトールは、風に溶けた
[メイン] バロン : 「ッ!?」
[メイン]
ヘクトール :
音を切り離したような踏み込みに、不意を打つ為計算し続けた動き
それに、俊足を合わせれば……
[メイン]
バロン :
銃は──通じない。
距離を取るのも──遅すぎる。
[メイン]
ヘクトール :
結果、世界を騙くらかしたように
今にも槍を放たんとするヘクトールが穂先を掴めそうなほど近くに現れる
[メイン] バロン : 「ッッッ」
[メイン] バロン : 瞬間、脳裏を掠めた”死”。
[メイン] バロン : ……だが。
[メイン] バロン : それに逆らい。
[メイン] バロン : その”掴めそうな”穂先を”掴める”距離まで一歩前に詰めた。
[メイン]
バロン :
そう、相手は達人。
武器は長物。
[メイン] バロン : それなら、その想定よりも一歩近く。
[メイン] バロン : 己の得物である幻覚ともライフルからも想像を付かせない一手。
[メイン] バロン : さっきの意趣返しだ、色男……!!
[メイン] ヘクトール : 「………いやはや、お前さんも大概だな」
[メイン] ヘクトール : 一歩迫り、強引に射程から逃れた男へ向かい、苦笑いを向ける
[メイン] バロン : 獰猛な獣のように笑いを返し。
[メイン] バロン : ヘクトールの渾身の突進を無防備に受けることを代償に、握りしめた拳で相手の勢いを利用して殴りつける!
[メイン]
ヘクトール :
「だが、悪手だ」
唖然と空を切る槍が、縮んだようにヘクトールの手元へ収まる
[メイン]
バロン :
「…………!?」
思わず、目を見開いた。
[メイン]
ヘクトール :
槍から、剣へ。
姿を瞬く間に変えた“愛槍”……もとい、愛剣を握りしめると
[メイン] バロン : おいおいおいおい……
[メイン] バロン : ……二度目だ。
[メイン] バロン : 「槍だけが得物だと、見誤ったな」
[メイン] ヘクトール : 体芯をずらし、妙技を持って勢いのベクトルを都合よく変え…
[メイン] ヘクトール : 一閃
[メイン] ヘクトール : 手に持っていたライフルへ切り掛かり、ついでにと空いた義手でボディブローまで叩き込む
[メイン] バロン : 元々が”絡め手”の一芸特化。
[メイン] バロン : まさか目の前の、武芸百般の戦士のように早々この超近距離の間合いからの切り返しなどできるわけもなく。
[メイン] バロン : 「……か、はッ……!!」
[メイン] バロン : ライフルを手放し、そのまま重い一撃を受けて大きく吹き飛んだ。
[メイン] ヘクトール : 「ハハ」
[メイン] ヘクトール : 「そりゃあ、相手が槍持ってりゃ無理ないさ」
[メイン] バロン : 宙で一回転し、そのまま体が地面に──なんてどこかで見た光景をそのまま繰り返し。
[メイン]
バロン :
「ぐっ、が……!!」
地面に片膝をつく。
最早立つ体力も無い。
[メイン] ヘクトール : そのまま投槍の構えに移り、鋭く相手を見つめる
[メイン] バロン : 「……ここで終わりか」
[メイン] ヘクトール : 「……」
[メイン] バロン : 「取ってきた分だけ取り返される。当たり前のことだな」
[メイン] ヘクトール : 「さて、勝ったのは俺で良いのかもしれないが……こっちが用があるのは、プレートだけなんだ」
[メイン] ヘクトール : 「コレと、1のプレートはあるかい?」
[メイン] ヘクトール : 自身のプレートを取り出すと、相手に見えるように手に持つ
[メイン] バロン : 懐をまさぐり。
[メイン] バロン : 「無い。残念だがな」
[メイン] ヘクトール : 「……じゃ、仕方がないか」
[メイン] ヘクトール : 「悪いが“四枚”もらっていくよ」
[メイン] バロン : 「…………」
[メイン] バロン : 「わざわざお伺いを立てるとは、とんだ甘ちゃんだな?」
[メイン]
バロン :
そう言いながらまだ戦うこともできるぞと言わんばかりに立ち上がろうとして……やはり膝を折る。
傷は深い。
[メイン] ヘクトール : 「礼儀正しく生きたいのさ、後から振り返った時頭抱えるのもカッコ悪いだろ?」
[メイン] バロン : 「……ハッ」
[メイン] ヘクトール : 「それに……おじさんとしては、そこら辺の木端よりも、お前さんみたいなのがハンターになった方が気分が良いしね」
[メイン]
ヘクトール :
それなら……
「“次”があった方がいいだろう?」
[メイン] バロン : 「……違いない」
[メイン] バロン : 4枚分のプレートを、ヘクトールに向かって指で弾く。
[メイン] バロン : 「……持っていけ。確かにここで言い足掻くのも”ダサい”」
[メイン] ヘクトール : パッと四枚とも受け取ると、確認した
[メイン] バロン : 「……”礼”もあることだしな」
[メイン] ヘクトール : 「……それじゃ、おじさんはここで」
[メイン] ヘクトール : 用は済んだ、伝えたいことも伝えた
[メイン] ヘクトール : そして、こいつは死ぬわけでもない
[メイン] ヘクトール : 看取ってやる必要がないなら……
[メイン] ヘクトール : 去るのみだ
[メイン] バロン : 「精々急げ……あのお嬢ちゃん、俺の勘だが」
[メイン] バロン : 「面倒事に巻き込まれる性質だぞ」
[メイン] バロン : さっさと行け、とばかりに毅然として背中に声を飛ばす。
[メイン] ヘクトール : 背を向け、そのまま風と共に消えていく
[メイン] ヘクトール : ……懐から、塗薬を落として
[メイン] バロン : その背中が消えるのを見送る。
[メイン] バロン : 「……ハァ、情けは人の為ならずか?」
[メイン] バロン : 与えられた施しに先の戦いの後の自分を重ねてぼそりと独り言ちる。
[メイン] バロン : 体を引きずるようにして薬を取り。
[メイン] バロン : 「……頭を抱えそうな格好悪さだ」
[メイン] バロン : 手ごろな木に寄りかかって、空を見上げた。
[メイン]
バロン :
[メイン]
バロン :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい : かくして。
[メイン] 環うい : 白虎ちゃんは…こんな私を見かねたのか、一緒に来てくれる事になった。
[メイン] 環うい : 虎さんが仲間になってくれるだなんて、心強いぞー!がおー!
[メイン]
環うい :
……なんて思いながら、ヘクトールさんと合流した。
あの人も一戦したようで、みんなみんな傷だらけ。
[メイン] 環うい : だからこそ、今はその傷を癒していた…のだけど。
[メイン] 環うい : 「プレート……まだ、足りない…んだね」
[メイン] 白虎 : 「ぐぬぬぬぬ……!!」
[メイン] ヘクトール : 「……一人増えてたのには、気が回らなかったなぁ」
[メイン]
白虎 :
「おっす!!」
ニッコリと、ヘクトールへ元気よく挨拶。
[メイン] 白虎 : 「ていうか!!島中歩き回ったけど!!!」
[メイン] 白虎 : 「もう他に参加者!!いなくないか!?」
[メイン]
環うい :
ヘクトールさんが貰っていたのは合計5つ。
白虎ちゃん、私の分を合わせて8つ……
[メイン] 環うい : 「……そうなのかな?」
[メイン]
環うい :
……”あの人”も、もしかして、抜けちゃってたりするのかな。
脱落するなんて考えられないし…
[メイン] 白虎 : 「ぐ、ぐぬぬぬぬぅ……みんな、"ハンター"になりたいんだもんな!?……どうしたらいいんだろうな……!!」
[メイン] ヘクトール : 「今からバロンのを取りに行くのはアレだしなぁ…」
[メイン] 環うい : 「でも……もし足りなかったら、白虎ちゃんとヘクトールさんは上がってもらって大丈夫だから!」
[メイン] 環うい : 「私は…何とか!どうにかするから!」
[メイン] 白虎 : 「!? ど、どうにかするって……」
[メイン] 白虎 : 「どうすんだよ!?具体的に!!」
[メイン] 白虎 : ビシッ!とういを指差す。
[メイン] 環うい : 根拠のない言葉を言いつつ。
[メイン] 環うい : 「えっ、ぅううん………」
[メイン] ヘクトール : 「おじさんとしては、それも悪くはないんだけど……お前さんはそれでいいのか?」
[メイン] 環うい : 「……通してくださーいって…係員の人に、お願い…?」
[メイン] 環うい : 「よくは…ないけど。わたしはまだ…”子ども”だから」
[メイン] 白虎 : 「通るわけないだろー!?!?」
[メイン] ヘクトール : 「無理だな」
[メイン] 白虎 : 「ハンター試験は!甘くないんだぞー!!」
[メイン] ヘクトール : 「そーだそーだ」
[メイン] ホンフー : 「───そう、甘くない」
[メイン] 白虎 : 「─────ッ!?」
[メイン] 環うい : 「…だから、他の機会もあるかなぁ……とか…」
[メイン] 白虎 : ぞわり、悪寒が走る。
[メイン] ヘクトール : 「………ッ」
[メイン] 環うい : ぞくり。
[メイン] 白虎 : この場には、3人"しか"いないはず。
[メイン] 白虎 : 4人目の声、それも近く。
[メイン] 白虎 : すぐ、隣で。
[メイン]
環うい :
その声は、何度も聞いた。
────忘れる事のできない、その言葉。
[メイン]
ホンフー :
声の主。
…………悪寒の放つほどの禍々しいオーラを不気味なほどまでに
風の戦ぎのように、ゆらりと靡かせる
───ホンフー。
[メイン] 白虎 : 「な……なぁあッ……!?お、お前はッ……!?!飛行船に、いた……!!」
[メイン] ヘクトール : 「アンタかい」
[メイン] 白虎 : 馬鹿なッ……!?この白虎様が、察知に遅れただとッ……!?!?
[メイン] ヘクトール : 「さっきはこっちが不意を打ったが、お返しされちまったな」
[メイン] 環うい : 「────”3度目”……」
[メイン] 白虎 : 「んっ……!?2人は、もう会った、のか……!」
[メイン]
ホンフー :
「フフフ……ええ、意趣返しです
と、そのつもりはありませんでしたが……こうバッタリと会ってしまうものなんですね、いやはや」
[メイン]
環うい :
「……こんにちは、ホンフー…さん」
ごくり、と…唾を飲みながら。
[メイン] 白虎 : いや、それよりも……不自然ッ!!
[メイン]
環うい :
「……うん、一回会ってて……
すっごく、すっごく……強かった……」
[メイン] 白虎 : 私は、殺意とか、敵意とか、そういう人の気配を感じたら直ぐにでも探知できる……!!そういう五感を訓練で得てきたんだぞッ……!?
[メイン]
ホンフー :
希望の光
「ええ、こんにちは───『Luce Speranza』と共に
この孤島を彷徨い、貴方は孤独な虎を手懐けたようですね」
[メイン]
ヘクトール :
嫌な予感がする、ぬかるみに嵌るような
背筋へと虫が湧くような
[メイン]
環うい :
その……”意志”の強さは、とても。
”強かった”。
[メイン]
白虎 :
「……!!!……強い、のかッ……!」
ごくり、唾を飲みこみ、ホンフーを見る。
[メイン] 白虎 : 冷や汗が、首筋を伝う。
[メイン]
ホンフー :
「ええ、強くなければ…………
ここまで生き延びていませんからね」
ピッ、と何かを見せつける。
円盤状のそれには数字が刻まれていた。いや、数字はもはや意味を成さない。
[メイン] 環うい : 「…うん」
[メイン] ホンフー : プレート。
[メイン]
ヘクトール :
汗はかかず、冷静に
されど体は動かせるように息を整える
[メイン] 白虎 : 「……な、なんだ?英語?何語?分かんないけどッ!……何しに来たんだ、よ……?」
[メイン]
白虎 :
手懐けられた虎、という言い方に少し反応しつつ
ホンフーの持つプレートへ視線が。
[メイン]
ホンフー :
「足りませんよね? 8枚じゃあ……とてもとても3人分には至らない
ハッピーエンドにはなりません」
[メイン]
環うい :
「今は『孤独』なんかじゃない、立派な『友だち』だよ」
────Luce Speranza、希望の光。
[メイン] 環うい : 「そういう…ホンフーさんは、足りてるの…?」
[メイン]
白虎 :
「………何が、言いたいんだよッ……?」
ういの前に立ち、ホンフーをじっと睨む。
[メイン] 白虎 : 『傭兵』は、主を守るのも務めの一つ。
[メイン]
ホンフー :
「───これが9枚目。私にとっては、貴重な1枚です……
ほお、『友達』ですか…………それにその眼差し
たゆりのない、まっすぐな……うふふふ」
すると、プレートをつけ直し。
[メイン] 白虎 : 「………そういうこと、か、ふぅん……?」
[メイン] 白虎 : 「じゃあ……」
[メイン]
ホンフー :
「…………足りませんよ?
ういさんのプレートを取れば、2枚で十分ですが
何せ…………先ほど手痛い目に遭いましたからね」
一時的とはいえ、闇に閉ざされた右目を見せつける。
[メイン] 白虎 : 「─────お前を倒せば、『クリア』なんだな?」
[メイン] ヘクトール : 「……ま、そうなるな」
[メイン] 環うい : 「……白虎ちゃん……?まさか…」
[メイン]
ホンフー :
「ええ、『クリア』ですよ
あくまで、この試験は、ですがね
私という関門を抜けた先こそ、真のスタートですよ……范圓圓、でしたっけ
うふふふ」
白虎に一瞥送る。
[メイン] 環うい : 喉を鳴らし、ちらりと彼女の方へと目を向ける。
[メイン] 白虎 : 「なッ……!?!び、白虎様の名をッ……!?」
[メイン] 白虎 : 止まらぬ冷や汗、されど。
[メイン] 白虎 : 立ち向かわない理由は、無いッ。
[メイン]
白虎 :
中国拳法の一種。八極拳。
大きく踏み出し、地面を抉る一歩。
[メイン] ヘクトール : 槍術、ここにおいては単純な突き
[メイン] 白虎 : ホンフーに、小さな虎による、大きな裏拳を与えんと─────。
[メイン]
環うい :
……”彼”は、言っている……
『希望の光』を、果たして照らし続けられるのか…と…。
[メイン]
ホンフー :
「私は先ほど打ち負かされました
まだ傷は癒えていませんが、これは言い訳にはなり得ません
ハンター試験の先の世界は、これ以上に茨の道ですよ……『桃源』の白虎」
その「地」を抉る一歩に対し───
ふわり、浮遊するように「天」へ…………槍を踏み台にし。
[メイン] ヘクトール : 「…っと!」
[メイン] 白虎 : 「ッッッ……!?」
[メイン]
環うい :
「……!?」
攻撃を受け流すだけじゃ…ない…!?
[メイン]
白虎 :
速い……!!避けられたッ……!?
今のは当たるだろッ……!?!くっそォオッ……!?!
[メイン] ヘクトール : 「上か……」
[メイン] 環うい : わ、私も…何とかしなきゃ…!何とか……っ…!
[メイン]
ホンフー :
───純粋な"強化系"
たとえ幼子といえど、白虎の名を授けられた少女。
そんな物を喰らえば、もう私は立ち上がる事はできないだろう。
[メイン]
ホンフー :
ですので、躱します。
遠慮なく───そして
[メイン] ホンフー : 急降下ッ!!!!
[メイン]
ヘクトール :
ならば、と踏み付けられた槍を上空へ向けて斬り払う、突きには速度で劣るにしろ
点を捨てた線で敵を裂く為迎撃する
[メイン] 白虎 : 「なッ……!?!」
[メイン]
環うい :
そう思うも、手は動かず。
念を念じる精神も、まとまらない。
[メイン]
ホンフー :
「そうそう 私のコードネームを───教えておきましょう」
迎撃せんと迫る槍を、凝で受け流し
あえて、最低限のオーラを集中させた健脚を、落下によるエネルギーによってッ白虎へ───
[メイン] ホンフー :
[メイン] ホンフー : 「バッドエンド」
[メイン] ホンフー :
[メイン]
白虎 :
「─────ぐほォアッ!?!」
その一撃は、白虎の0.05秒の無意識の内に、その鳩尾に繰り出され。
[メイン] 白虎 : 小さな体が後方へ勢いよく吹き飛ばされる。
[メイン] ヘクトール : 「ッ……!」
[メイン] 白虎 : ぐるんぐるんと地面に打ち付けられながら何度も回転し、数十mまで飛ばされ。
[メイン] 環うい : 「────白虎ちゃんッ!?」
[メイン] 環うい : 気づけたのは、彼女が吹き飛ばされた後。
[メイン]
白虎 :
「ごはァアアッ……!?!」
そのまま、大木へと叩きつけられる。
[メイン]
ホンフー :
「一人は、確実に潰しておきますよ───」
吹き飛ばし、白虎が実質二人から引き離されたのを見て
あえて二人の方に向くのでなく、白虎を追う。
[メイン] ヘクトール : 「チッ…軽くいなされた挙句、味方まで取られるとはな…」
[メイン] 環うい : めりこみ、呻き声で…ようやく気付くことが出来た。
[メイン] 白虎 : 体勢を、早くッ……!!整え……
[メイン] 白虎 : 「─────んなッッ……!?!?」
[メイン] ホンフー : 「───させませんよ」
[メイン] ヘクトール : さて、次の手だ
[メイン] 白虎 : 気が付くと、眼前にその男がいた。
[メイン] ホンフー : 超高速で移動させたオーラは、左腕へと。
[メイン] 環うい : そんな、こんな時までわたしは…なにも、出来ないの…!?
[メイン] ヘクトール : 投槍の姿勢を取ると、条件を整え始める
[メイン] ホンフー : 100%───「硬」……。
[メイン] 白虎 : 間に合わなッ─────!?!
[メイン]
環うい :
「た、っ…こ…さんっ……」
しかし、今から念じても間に合わな────
[メイン]
ホンフー :
「強化系なら、全力でガードすればこれぐらい耐えれます───
よね?」
下瞼を持ち上げ、殴り掛かろうと───
[メイン]
:
[メイン] : ズドォン!
[メイン]
:
[メイン] : 1発の銃声。遅れて飛来する銃弾。
[メイン] : 一切の”ブレ”が無い精緻な軌道は、撃ち手の健在を訴えるようで──
[メイン] : ──否。1発しか無い筈の銃弾が多重に”ブレ”る。
[メイン]
ホンフー :
「かはっ……!!!」
渇いてはいない。
むしろ、その場を血飛沫で潤わせる───銃声。
捉えようとするが、その"ブレ"に対応できず。
[メイン] 白虎 : ─────奪われんとした命。
[メイン] 白虎 : ─────その命を、奪い返さんとする、勇気の弾丸。
[メイン] 環うい : 「────えっ」
[メイン] 白虎 : その銃弾により作られた、一瞬の隙により。
[メイン]
ホンフー :
───『硬』
凝以上に、特定部位の攻防力を飛躍的に高めるが
それ以外の箇所が「絶」となる為、諸刃の剣である。
[メイン] : ……──”礼儀”は返した。
[メイン]
ヘクトール :
「標的確認」
名乗りは終えた、奴は守るべき者でもない
[メイン]
ホンフー :
…………踏み込んでいた足の力が緩まり
白虎に振り下ろされた拳は、あらぬ方向へと振り下ろされ
大きく「隙」が生じる。
[メイン] 環うい : そう、届かない場所に……唯一届いた、その弾丸。
[メイン]
白虎 :
「うぉらァアアアアアアッッ!!!!!」
宙で、残る力を振り絞り、ホンフーへッ!!
[メイン] 白虎 : 鋭い虎の蹴りを、叩き込むッッッ!!!!
[メイン]
ヘクトール :
「方位角固定」
姿勢は整えた、頭は冷え切って楽しくもなんともねえ
[メイン]
ホンフー :
「───ぐっっっ!!!」
その寸前で、叩き込まれた場所に「凝」ッッッ!!!
間に合う───が、その虎の蹴り。その勢いは殺せず。
[メイン] ホンフー : 吹き飛ぶッッッ!!!
[メイン] 白虎 : そのまま、小さな体は地へ着地。
[メイン] ヘクトール : さあ、準備はできた
[メイン]
環うい :
私が届かない場所に、届いた勇気の弾丸。
それに……呆気を取られ、でも。
[メイン]
白虎 :
「……ご、はッ……!!」
と同時に、口から血が吐き出される。
[メイン] 白虎 : 先程のホンフーによる一撃は、白虎の内臓を、骨を、壊していた。
[メイン] 白虎 : 「はぁッ……!はぁッ………!!!ぐ、ぞぉッ………!!」
[メイン]
環うい :
「大丈夫…っ…!?白虎ちゃんっ……!!」
────念じる勇気は、確かにあって。
[メイン]
ヘクトール :
「『不毀の極槍』! 吹き飛びなぁ!!」
全身を使い、一気に槍を敵に向かい解き放った
[メイン] 白虎 : 肩で息をしながら、ホンフーを睨みつけ。
[メイン] 白虎 : 「ッ……!!逃げろ!!!ういッッ!!!今すぐ!!ここからッ!!!!」
[メイン]
ホンフー :
「───うふふふ…………!!!
『一人』ッ……」
衝撃に眉を顰めながら、こちらへと投擲される───折れる事のない『槍』ッッ!!!
[メイン] ヘクトール : 音速の壁を叩きながら、宙を飛ぶ敵へ後発の槍が追い縋る
[メイン]
白虎 :
虎の本能が告げる。
この男─────"ホンフー"とは、戦うべきじゃないッ!
[メイン]
環うい :
「……っ」
ううん、全然大丈夫じゃない……っ
見てもわかる、あの一撃は……確かに、白虎ちゃんの体を貫いて…ッ
[メイン] 環うい : 「……それじゃあ、二人はどうするのっ!?」
[メイン] 白虎 : かの男は、必ずッ─────!!
[メイン]
白虎 :
バッドエンド
『絶望』を……もたらすッ……!!!
[メイン]
白虎 :
「……!!……へッ……!!びゃっこ、さま、を……舐める、なよッ……!!」
ふらふらと、なんとか立ち上がろうとする。
[メイン]
ホンフー :
───ヘクトール
その槍…………あの場で放たれていたら、私はもしかするとタダではすまなかった。
ですが……今、この瞬間。覚悟は決まっていた。この瞬間であれば。
そして……私の『コピー』した力で、その槍は───
[メイン] ホンフー :
[メイン]
ホンフー :
隼属の狩猟舞
「Falcon kick」
[メイン]
ホンフー :
オーラが炎となりて
瞬きの一つすら許さず。
[メイン]
ホンフー :
そして───その業火がホンフーを纏い
全てを燃やし尽くす"破壊"が槍と激突するッッ!!!
[メイン] ホンフー : 「───ッッッ!!!!」
[メイン]
環うい :
「……!!!!」
炎の蹴りと、その槍との激突に────目を奪われて。
[メイン] ヘクトール : 「……とことん厄介だな」
[メイン] ホンフー : 「"破壊"はできずとも」
[メイン] ホンフー : 「叩き落す事はできるッッ───でしょう」
[メイン] ホンフー : 「ねッッ!!!!」
[メイン] ヘクトール : まあ、言われた通り
[メイン] 白虎 : なん、だよ……あれッ……!!
[メイン]
ホンフー :
───ここで、何かを言い訳にしては
ライセンスを手に入れたとしても、私はもう決して『あの日』に帰れる事はない。
[メイン] 白虎 : この、白虎様、よりも………!!
[メイン] ホンフー : 負けられない。
[メイン] ホンフー : 私も。
[メイン] ヘクトール : あの火力を想定外とした以上、抉り進みつつも槍は逸れ宙へと消える
[メイン]
環うい :
……こんな『狩り狩られ合い』にっ…わたしが……
まざって、どうあっても…
[メイン] 白虎 : ─────"虎の中の虎"じゃないかッッ……!!!!
[メイン] ヘクトール : 「……ったく」
[メイン] 環うい : ……ただ、狩られる、だけ……
[メイン]
ホンフー :
「…………さすがに2VS1では、厳しいので───」
炎が掻き消えると、ヘクトールの眼前へ───。
[メイン] ホンフー : 「あなたも」
[メイン] ヘクトール : 「制限が緩いからかね、どうにも使い勝手が悪い」何処ぞへと消えた槍を他所に、拾っておいた石を持つ
[メイン] ヘクトール : 「っと!?」
[メイン] ホンフー : 「───消えろッッッ!!! …………」
[メイン]
ホンフー :
先ほどの揺らぎなかった口調が荒れ。
乱雑に拳を振り下ろす。
[メイン] ヘクトール : 「はい、いいですよ……なんて、言うわけねえだろッ!」
[メイン] 環うい : ああ、でも……!!
[メイン] ヘクトール : 拳に手元の石を合わせ、掌底の形で打ちつける
[メイン] 環うい : 「────凧さん、守ってッ!」
[メイン] 環うい : ヘクトールが打ち付けたあと。
[メイン]
ホンフー :
「ッッッ───何だッ……!!!
これは───…………!!! だが……!!!」
[メイン] 環うい : 彼の体を、ふわりと……後方へ。
[メイン] ホンフー : 突き抜けろ───………!?
[メイン] ヘクトール : 「!?」
[メイン] ヘクトール : 手元の石が砕け、ホンフーの拳が手を貫く……前に、ふわりと後ろへ引きずられる
[メイン] ヘクトール : 「……悪いね、助けられちまった」
[メイン] 環うい : ッ、ぅうう……!!やっぱり、ここまででも風圧が…凄い……っ…!!
[メイン]
ホンフー :
「…………『受難』に苛まれて、ただ身の流れに任せるしかなかっただけの
『ひよっこ』が…………"希望の光"を押しのけてでも…………
…………ですが、1対1です、そこの……! 下手に槍を打ち込めば、この子も巻き込まれるだけですよ」
[メイン]
環うい :
「……ううん、前助けてもらったお礼、だよ……ッ」
そう言って、キッと睨みつける。
[メイン] ヘクトール : 「タイマンがお望みかい?」
[メイン]
ホンフー :
「…………ええ、ぜひとも
この窮地……この距離……どうせ、この子がどうにかしなければ
この子自身に訪れるは、"バッドエンド"ですから、ね」
[メイン] 環うい : 「……ヘクトールさん、白虎ちゃん…… あのね、私は……」
[メイン] ヘクトール : 「……」
[メイン] 環うい : 「逃げたりしない」
[メイン]
ヘクトール :
判断としては、クソ喰らえと答えて目に泥でも投げつけた後、二人で引きながら槍を投げ続ける、という手もある。
それが、一番勝利に近い
[メイン] 白虎 : 意識が、遠のいて、いく……。
[メイン] 環うい : そう言いながら、一歩前に出て…睨みつける。
[メイン]
白虎 :
クソ……!
………う、い……。
[メイン] 白虎 : 「………やるん、だな……?」
[メイン] 環うい : 「絶対に、『狩られない』」
[メイン] ヘクトール : だが、こう答えられたら……どうするかね
[メイン] 白虎 : 掠れた声で、ういの背中に。
[メイン]
ホンフー :
「───たった1枚、A4サイズのわら半紙に等しいあなたが
そんな言葉を仲間に、そして私にそんな目を……向けてくるとは
アンファント
たかが"子供"だと見くびってはいませんでしたが…………」
[メイン]
環うい :
目の前にそびえるのは。
バッドエンド
すっごく、すっごく……強大な『受難』。
[メイン] 環うい : こくり、白虎へと頷いて。
[メイン]
ホンフー :
「いざ、こう目の前で言われると
むかつきますね……"希望の光"とはこれほど煙たいものでしたか……」
[メイン] 白虎 : それを見て、へへ、と笑い。
[メイン] 白虎 : 「………そう、か……それ、なら………」
[メイン] ヘクトール : 「(相手の出したくだらない提案に乗って、わざわざ不利になって死ぬ、くだらない経験はする必要はない)」
[メイン] 白虎 : 「……まか、せた、ぞ……う、い……」
[メイン] 環うい : 「私は戦いたくないし、戦うのも嫌だ」
[メイン] 白虎 : 「─────勝て、よ……」
[メイン] ヘクトール : 「とか言って、説得して止めたい所なんだが……」
[メイン] 白虎 : ばたりと、倒れる。
[メイン] ヘクトール : 「まあ、仕方ないか……」
[メイン]
環うい :
「だけどっ…」
大きく、一歩踏み込み。
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい : 「────友だちを傷つけられるくらいなら、いくらだって『羽ばたいて』やるッ!!!」
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン]
環うい :
ふわり、二対の翼のように。
生み出された、その凧。
[メイン] 環うい : 「あなたが言う、”希望の光”………ちっぽけで、周りすら照らせない…そんな希望の光だけど……」
[メイン] 環うい : もう、あんな……友だちを傷つけられて、何も出来ないようなのじゃない……
[メイン]
環うい :
ジャッチメント
「私の『正義』を、貫く────ッ」
[メイン] ヘクトール : しかし、タイマンかぁ
[メイン]
環うい :
踏み込んだひなどりは、羽ばたくように。
[メイン]
ホンフー :
ジャジメント
「───あなたが、『正義』と口にするとは……」
笑みを浮かべる所、ホンフーの形相に
今までも垣間見えなかった『焦燥』が見え始める。
[メイン] 環うい : 白虎、ヘクトールの元に飛んでいく。
[メイン] ヘクトール : どうしてこう、バカな真似をするのかねぇ?
[メイン] ヘクトール : くだらない
[メイン] 環うい : 「二人ともごめんね……」
[メイン]
ヘクトール :
平穏な暮らしが一番だ、殴り合い、切り合いが得意です、なんて誰に誇れる者でもない
それをしなきゃ生き残れません?原子時代にでも旅行に行けよ
[メイン]
環うい :
「『回収』させてもらうから」
[メイン] ヘクトール : 「ああ、おじさんは見学するよ、不安になったら呼んでおくれ」
[メイン] ヘクトール : まあ、元から相手に合わせる義理などないわけだし
[メイン] 環うい : 「……そんなに、私が『正義』と言ったのが嫌だった?」
[メイン]
環うい :
ヘクトール、白虎へと……ぴたり。
凧がくっつき。
[メイン] ヘクトール : 「おーおー、嫌な思い出とかあるのかーい?」ヤジを飛ばす
[メイン]
ホンフー :
───私は一人。彼女は……二人、三人、いや……四人だな───
だれかに背中を支えてもらう、いや、だれかの背中を支えられるとは
これほど輝かしく、そして…………これ以上は、言葉は必要ないか。
[メイン] ホンフー : 「…………嫌な思い出か」
[メイン] ホンフー : 「思い出すだけで、ここにいる全員ぶち殺したい事ぐらいの」
[メイン]
ヘクトール :
観客を引き受けたのだ、適当に煽らせてもらおう。
集中が切れれば儲けもの
[メイン] ホンフー : 「───最悪の"バッドエンド"はある」
[メイン] ホンフー :
[メイン]
ホンフー :
「…………あなたに相応しいバッドエンドは決まりました
…………───ドゥームチェンジ:マミ」
[メイン] ホンフー :
[メイン]
ホンフー :
リボンが飛び出し───そのリボンが繋ぎ合い
大量のマスケット銃を、そしてそのマスケット銃すら繋ぎ合い
[メイン] 環うい : 「────!?」
[メイン] ヘクトール : 「おーおー、女の子相手に飛び道具かよ」
[メイン] ホンフー : "巨大な銃口"が、ういに向く。
[メイン] ヘクトール : 「情けねえなぁ、最初から出し惜しみした割に、最後は武術のかけらもない大砲頼りか!」
[メイン]
環うい :
あれは……知ってる、私の友だち、マミさんの…!
なんであの力を……!?
[メイン] ホンフー : 「うふふふ……必殺技は最後にとっておいた方がいいでしょう?」
[メイン] ヘクトール : 「そうか?」
[メイン] 環うい : 「……これが…あなたの、力…?」
[メイン]
ホンフー :
「八百長試合の、達人だからこそ守られるだけの腐った『武術』より
よっぽど筋が通っているでしょう」
[メイン] ヘクトール : 「ふーん」
[メイン] ホンフー : 「ええ───『コピー』しました」
[メイン] 環うい : 誰かの力を借りる、その『コピー』────
[メイン]
ホンフー :
「あなたの……その"発露"が
私の"発露"を上回るか、試してみましょうか
私は借り物ですが、中々の物ですよ」
[メイン] ヘクトール : 「最後に使う、のと武術へのクレームがどう繋がるかは知らんが、がんばれ〜!」
[メイン] 環うい : 「じゃあ、私とあなた」
[メイン] ホンフー : 「どっちが強いか」
[メイン] ヘクトール : 「言うまでもないが、避けないと死ぬぞ」
[メイン] 環うい : 白虎、ホンフーのオーラを
[メイン]
ホンフー :
「うふふふ───いいえ、この子は避けませんよ」
引き金を引く、3秒前───
[メイン] 環うい : 「勝負、だね」
[メイン]
環うい :
コピー
────『回収』
[メイン]
ヘクトール :
好き勝手にヤジを飛ばす
まあ、なにかしらこだわりがある奴には効くかと思い適当に
[メイン]
ホンフー :
「真っ向から完膚なきまでに」
───2秒前。
[メイン]
ホンフー :
「叩きのめしてこそ」
1.5秒前。
[メイン] 環うい : ────『具現系』
[メイン]
ホンフー :
「勝負でしょう?」
1秒前───。
[メイン] 環うい : オーラを固めてモノにする、その力は一つの槍を形作っていく。
[メイン] ヘクトール : ……バカしかいねえのか
[メイン] 環うい : 「うん、結局…我儘の言い合いでしかないんだ」
[メイン]
ヘクトール :
呆れた顔でタイマンを見つめる
戦いなんぞに、何を見出してるんだ、この若いのは……
[メイン] 環うい : 「どっちが、強いか…なんて…」
[メイン] ヘクトール : 「碌でもないな、ハンターってのは……」
[メイン] 環うい : その槍に、覆うように獣の形が作られる。
[メイン] 環うい : ────『白虎』が覆う、一本槍。
[メイン]
ヘクトール :
呆れ顔のまま、淡々と感想を述べると……
「まあ、それを認めた俺も俺だ」
[メイン]
ホンフー :
「ええ───ロクでもないですが
その通りですね」
0.5秒前。
[メイン] ヘクトール : 「ろくでなしのプロになるんだ、あの程度には負けんなよ?」
[メイン] 環うい : 「うん、絶対…負けやしない」
[メイン] 環うい : 『バッドエンド』なんか、打ち崩して……
[メイン] 環うい : みんなを照らす、ちっぽけな光になってやる────
[メイン]
ホンフー :
「───"バッドエンド"ですよ
ハッピーエンド
"ルーチェ・スペランツァ―"」
[メイン]
ホンフー :
ティロ・フィナーレ
『悲劇の前触れ』
[メイン] ホンフー :
[メイン]
ホンフー :
凄まじい爆音が響けば
想像を絶するオーラを『放出』する───
[メイン] 環うい : そのオーラに髪がたなびく。
[メイン] 環うい : けれど、不思議と体はゆっくりと。
[メイン] 環うい : その槍を持つ手は、硬く。
[メイン] 環うい : そんな、『放出』を────
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン]
環うい :
ハッピーエンド
「希望へと導いて────
[メイン]
環うい :
ドゥリンダナ・スパーダ
『四聖獣・白虎』!!!!!!!!!」
[メイン] 環うい : 想いのまま、その感情と共に彼へと投げつける。
[メイン]
ホンフー :
全てが、まるで超常的潮汐に見舞われ───
世界が海に浸ったかのように、鈍くなる。
バッドルート
が───『悲劇の前触れ』を打ち砕きながら
その白虎が、決して折れる事のない槍が
[メイン] ホンフー : 幻覚か───
[メイン] ホンフー : いや
[メイン]
ホンフー :
トゥルーエンド
『現実』
[メイン] ホンフー :
[メイン] 環うい : 白のオーラを纏い、虎の姿を形作る一つの槍は────
[メイン] 環うい : 感情の言葉と共に、砲撃へとぶつかり合う。
[メイン] 環うい : わたしの言葉は、ちっぽけなものでも
[メイン] 環うい : みんなが支えてくれるから
[メイン] 環うい : ────“何人なんぴとたりともわが言葉には従えず”
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい : その槍は、砲撃を破壊して彼へと────
[メイン]
環うい :
・・・・・
────刺さらない。
[メイン] ホンフー : ───!
[メイン]
ホンフー :
…………『無鉄砲』だな、刺さないのか
いや……本当に『無鉄砲』なのは
こんなありさまの、私ですが……ね
うふふふ…………
[メイン] 環うい : 「……ホンフーさんだって、もう戦えないでしょ?」
[メイン] 環うい : そんな訝しげな目線をやる、彼へと向かって。
[メイン]
ホンフー :
「───困りましたね
人を見る目は……最初からずっと、私が目に掛けた通りじゃあないですか」
[メイン] ヘクトール : 「おや、寸止めかい」
[メイン]
ホンフー :
「ハハハハ…………私を殺しておいた方が
世の為ですが、まさか、あなたに命を拾わされるとは」
[メイン] 環うい : 「うん、命は奪わないし、そんな事はしたくないよ」
[メイン] 環うい : 「だって」
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい : 「────わたし、あなたのファンになっちゃったんだもん」
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] ホンフー : 「…………ファン………ですか?」
[メイン] ヘクトール : 「……はぁ?」
[メイン] 環うい : 「うん!」
[メイン] ヘクトール : 「えーっと、こんなのの?」
[メイン] ヘクトール : 「そりゃあ、強かったが……言っちゃなんだが、かなりアレだぞ?」
[メイン] ヘクトール : 頭のネジが数本錆びて朽ちているとしか思えない、おまけにキザだし……
[メイン] 環うい : 「だってわたしたち、とっても『似てる』からね!」
[メイン]
ホンフー :
「頭のネジが数本錆びて、朽ちているような私を、ですか?」
ヘクトールの方に視線を送りながら、ういの発言にきょとんとして。
[メイン] ホンフー : 「───『似てる』」
[メイン] ヘクトール : まあ、たしかに同じバカだが……
[メイン]
ホンフー :
その瞬間、私は私の過去を垣間見られたような気がした。
が…………悪くない。初めてだ、この記憶に触れられたような気がしたのに。
きっと彼女は知ってはいないだろう
そして今後も知ることは無いだろう。だが、似ている、か。
[メイン] 環うい : 「わたしたちを倒すだけなら、もっと別のやり方だってあったはずで」
[メイン] ヘクトール : 「例えば?」
[メイン] 環うい : 「でも、わたしとこうやってぶつかってくれた」
[メイン] ヘクトール : 「趣味だろ」
[メイン] ヘクトール : 嫌味を込めて次々言葉を吐き出す
[メイン] 環うい : 「ホンフーさんは、念能力でコピーできる」
[メイン]
ヘクトール :
優しさは美徳だが、甘さは罪だ
ハッキリとした理由が言えねえなら、こっちが勝手に始末する事も考えながら話を聞く
[メイン] 環うい : 「それってつまり、色んな人と知り合った、って事でしょ?」
[メイン] ヘクトール : 「勝手に殴りかかっただけじゃないか?」
[メイン]
ホンフー :
「……………本当に、人の目を見て
神経を撫でようとしてくるのが得意ですね」
少し語気を強めようとするが、口調はどうしても柔らかく。
[メイン] 環うい : 「そうかもしれない…けど、知らないと出来ないよ」
[メイン] ヘクトール : 「へぇ、何をだい?」
[メイン]
環うい :
ティロフィナーレ
「”想いの再現”、だよ」
[メイン]
ホンフー :
「!!!!
……………ぷっ……はははは……」
ケラケラと笑うほどの、気力は披露で残っていないが
腹の底に残った分、笑いがこみあげる。
[メイン] ヘクトール : 「想い、とはよく言ったな」
[メイン]
環うい :
「うぅん…怒らせちゃったかな…?」
「え、っ……あれれ…!?!?」
[メイン]
ホンフー :
「───参りました
あなたの『念』には決して、敵いませんね」
[メイン] ヘクトール : 「……」
[メイン] ヘクトール : 警戒する視線は変わらず、今も槍を構えている
[メイン] 環うい : 「だって『念』でぶつかったからこそ、わかるから!」
[メイン] 環うい : にこり、と…ヘクトールへと笑顔を向ける。
[メイン] ヘクトール : 「念……ねぇ」
[メイン] ヘクトール : 「イマイチわからないね、ワカモノの感性って奴は」
[メイン]
白虎 :
「─────んんっ……」
激戦の後……小さな虎が、目を醒ます。
[メイン] 環うい : 「だから……『アイツをぶっ殺さないで』、ね?」
[メイン] 白虎 : ……あれ……?私、さっき……ズタボロにやられたはずじゃ……?
[メイン] 環うい : これは…わたしのわがまま。
[メイン]
白虎 :
むくりと、自然に起き上がる。すんなりと、ごく普通に。
深い傷を負っていたにも関わらず。
[メイン]
ホンフー :
「たった1枚、A4サイズのわら半紙…………
───ですが、そこには詰められないほどの『念』を抱いてるようで
ういのおくやま……道のない未知の深い山を進んできた私ですが……
参ったな……何となく、道を示されてしまいました」
[メイン] ヘクトール : 「おお、起きたのかい、白虎」
[メイン]
環うい :
ヘクトールさんには悪いけど、でも聞き入れてほしい言葉。
[メイン] ヘクトール : 「……やけに回復が早いな」
[メイン] ヘクトール : それに……この匂いは……
[メイン]
白虎 :
『桃源』と呼ばれる、戦闘員が育つ村で育てられた傭兵の少女。
白虎の治癒能力は、常人に比べれば高いものではあるが─────。
[メイン] 白虎 : 「ん、あ、ああ……!起きたぞ!……元気、百倍だ!」
[メイン] 白虎 : ヘクトールに、グッジョブサインを見せながら。
[メイン] 環うい : 「……えへへ、こんなひよっこで…未熟者だったけど、上手く羽ばたけたかな?」
[メイン] 環うい : ホンフーへとそう返しつつ。
[メイン]
白虎 :
─────それにしたって、治りが早すぎる。
その違和感は、白虎も感じていた。
[メイン]
ホンフー :
「───いいえ、まだひよっこです」
きっぱり
[メイン] 環うい : 「あうっ…!?」
[メイン] ヘクトール : 「だろーな」
[メイン] 白虎 : "奪われた"ものが、こうして。
[メイン] 白虎 : "戻ってきた"ようで。
[メイン]
環うい :
「そ、そっかぁ……成長できた気がしたんだけどなぁ…」
指をつんつんと、合わせながら。
[メイン]
ホンフー :
「…………試験が終わって、ハンターになってからが本番ですよ
"環うい"っ! "白虎"っ! "ヘクトール"っ! …………そして…………」
ばらっ、と大量のプレートを撒き散らす
[メイン]
白虎 :
「………………」
……なんだか分からないけど。でも……なんか、不気味な感じは、しないな!
むしろ─────。
[メイン] ヘクトール : 「……こいつ、こんなに集めたのか」
[メイン] 白虎 : 次の思考に入る前に、撒き散らされるプレートが目に入り。
[メイン] ヘクトール : 「どうりでバロンの収穫が少ないわけだ」
[メイン]
ホンフー :
「これだけあれば、"四人分"にはなるでしょう
私は……出直してきましょう」
[メイン] 白虎 : 「!!! う、うおぉおッ!?!?こんなに……!?」
[メイン] 白虎 : 「……!!……4人分……?……いや!それよりも!!」
[メイン] ヘクトール : 「一つでいいよ、あとは放っておこう」
[メイン] 白虎 : ういの方へ向き。
[メイン] 白虎 : 「お前!!!アイツに!!」
[メイン] 白虎 : 「『勝った』のか……!?」
[メイン] 環うい : 「……!! こんなに…沢山あったの…!?」
[メイン] ホンフー : 「ええ、あなた達の晴れ舞台にこいつらは似合わないと思ってね」
[メイン] 環うい : 「……えへへ、勝ったよ、だって」
[メイン] ヘクトール : 「(……って事は、コイツ進んでそこら中のハンター候補に喧嘩売って回ったのか)」
[メイン]
ホンフー :
「勝手に刈り取っておいたよ……ああ、殺してはいないから
バッドエンドは、嫌でしょ? うふふふ」
[メイン] 環うい : 「白虎ちゃん、そう言ってくれたじゃない」
[メイン] 白虎 : 「………はは、ははは!!そうだな!!ああ!!」
[メイン] ヘクトール : 「……気味の悪い奴だな」
[メイン]
白虎 :
「……へへへ!どうだ!もう一匹の虎!!ういは、『強い』だろ!!」
にへへ、とホンフーへ笑ってみせる。
[メイン] 環うい : 「…ホンフーさん…!ふふ…やっぱり、わたしってば…『ファン』だよ!」
[メイン] 環うい : えへへ、と笑いつつ。
[メイン]
ホンフー :
「何、あなた達のいない次のハンター試験なんて
手拍子の一回目で終わりますよ───フフフ、それにしても
重いですね……『ファン』を持った身になると」
[メイン] 白虎 : ファン?
[メイン]
ホンフー :
時を戻す念能力者。
絶対すら乗り越える念能力者。
私は───追い求めていた。
たとえオーラが尽き果てようと
一度に5秒でもいい。何百、何千、何万回と戻ってやる。
今なら、彼女の命を奪おうとした凶弾が放たれる前に
25人全員、この手で殺せるんだ。
けれど…………
[メイン] 白虎 : きょとん、としたアホ面でういとホンフーを見比べつつ。
[メイン]
ホンフー :
今は、ぬるま湯につかっておきましょう。
悪くない。
[メイン] 白虎 : アホだから、まぁいっか!勝ったみたいだし!と切り替えた。
[メイン]
白虎 :
「─────次会ったら、今度こそは!この白虎様が!真の"虎"がどちらかを見せつけてやるからな!」
ホンフーへ、ビシッ!と指差し。
[メイン]
ホンフー :
「ほら、そろそろ夜明けですよ───
虎、ねぇ……私は本名に「虎」が入ってますからねぇ?」
[メイン] ホンフー : 笑みで返し。
[メイン] 環うい : にこり、と笑いつつ。
[メイン]
白虎 :
「ん……」
夜明け、という言葉で空を眺める……前に。
[メイン] 白虎 : 山奥を見て。
[メイン] 白虎 : ─────"奪われた"ものを、"取り返して"くれた"誰か"に。
[メイン] 白虎 : ─────サンキュ!!……次は、勝つ!!
[メイン] 白虎 : 心の中で、そう告げた。
[メイン] 環うい : 「……次会う時は、”ひよっこ”じゃなくて…一人前の”ハンター”」
[メイン]
ホンフー :
───白虎の視線の先に、こちらも気取られないよう向ける。
このプレートを取りに来なかったときは、次の試験…………
強敵はあなたですよ……"バロン"
[メイン]
ホンフー :
「ええ、一人前の"ハンター"
私もそうなるまでは、顔を出さないようにしますよ」
[メイン] ホンフー : 「うふふふ」
[メイン]
環うい :
変わらない、その声。
最初は恐怖だったそれも、今や何だか嬉しくなってしまって。
[メイン] 環うい : 2人の目線に、きっと壮絶な『狩り合い』があったんだろうな…。と思いながら。
[メイン] 環うい : ────差し込む光を、じっと見つめる。
[メイン] 環うい : 『虎』のように気高く、『与えられたもの』を『守護者』として手放さないように。
[メイン]
環うい :
姉の『真似』になるかもしれない。
けれどひよっこ卒業、立派な燕として────
[メイン]
環うい :
狩る者と狩られる者
────『HUNTER×HUNTER』の、幸福を願う。
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン] 環うい :
[メイン]
:
夜明けは合格者を照らし、迎え入れた。
試験合格者達は、とうとうプロハンターとして晴れて認められ
ライセンスを手にする事ができた。
[メイン]
:
所有しているだけで一生不自由しない。売れば7代は遊んで暮らせる。
しかし───これを得ただけでは得られない物を
すでに彼女たちはその手に握っていた。
[メイン] : そう、掛け替えの無い───…………
[メイン] :
[メイン]
:
魔法の記録
マギアレコード…………
[メイン] :
[メイン] :